変顔してくる子が、本当に求めているもの
放課後教室で、やたらと変顔をしてくる子がいます。
こちらが話しかけると、すぐにぐにゃっと顔を歪める。
目を細めて、口を曲げて、満足そうにこちらを見ている。
私は思わず笑ってしまいました。 そして言いました。
「せっかくの可愛い顔が、変な顔になってるよ」
その子は、少し照れたように笑いました。
その瞬間、一冊の本を思い出しました。
灰谷健次郎の「天の瞳」に、フランケンというあだ名の転校生が出てきます。
いつも変な顔をして、みんなを笑わせている子です。
そのフランケンを見た倫太郎のじっちゃんが、こんな謎なぞを出します。
「隣どうしにあるのに、絶対見えないものはなんや」
おどけてばかりいる子は、 笑わせることで誰かとつながろうとしているのかもしれない。
あるいは、素の自分をさらけ出すのが怖くて、 仮面をかぶっているのかもしれない。
どちらにしても、その子が本当に求めているのは、 笑いではなく、
仮面の下の顔を、 ただ見ていてくれる誰かなのかもしれません。

