抜け出せない理由は“弱さ”ではない。コーチングが見るオンラインカジノ依存の心理

「やめたいのにやめられない」「気づいたらまた課金していた」──
オンラインカジノにのめり込む人の多くは、自分を責めてしまいがちです。しかし、意志の弱さが原因ではありません。そこには“心の中にある無意識の構造”が深く関係しています。

今回は、コーチングの視点から、オンラインカジノ依存の正体とその解決の糸口を探ってみます。

表面的な問題ではない ― “心のリアリティ”の問題

人は「リアルに感じる世界」に引き寄せられます。オンラインで「勝った」「取り戻した」と感じる瞬間は、現実よりもリアルに感じることがあります。脳は「快・不快」ではなく、「臨場感」に従って動くため、本人にとっては「やめる」よりも「続ける方が現実的」に思えてしまうのです。

コーチングが見る依存の正体 ― 自己整合性(つじつま合わせ)

依存とは、現状を維持しようとする自己整合性、いわゆる「つじつま合わせ」の力が強く働いた状態です。「自分はダメだ」「どうせ無理だ」という無意識の前提があると、その前提に合う行動を無意識に取り続けてしまいます。

コーチングでは「やめる力」を育てるのではなく、まずその前提を見直し、書き換えることから始めます。

やめられない理由 ― 未来のリアリティが弱いから

なぜやめたいのにやめられないのか。それは「やめたあとの未来」にリアリティがないからです。「負けた自分」「取り戻そうとする自分」には臨場感がありますが、「穏やかで自由な自分」はまだ想像上の存在に過ぎません。

コーチングでは、この未来側のリアリティを意識的に強化することで、自然に行動が変わっていきます。

依存は弱さではない ― 守るための戦略

依存は決して弱さではありません。それは「今の自分を守るための精一杯の戦略」です。だからこそ責めるのではなく、「その行動が何を守っていたのか」を丁寧に見つめることが大切です。

コーチングは「やめる力」を育てるのではなく、「新しいリアリティで生きる力」を育てるアプローチです。

まとめ

オンラインカジノにのめり込む背景には、無意識の自己整合性、つまり「つじつま合わせ」があります。
コーチングでは、その「つじつま」を丁寧に紐解き、新しい生き方のリアリティを育てることが、依存から抜け出す第一歩となります。

やめることだけに注目せず、未来の自分にリアリティを持たせる──これが、ポジティブな変化への近道です。

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